●はじめに
「wipe-out」では、CD-ROMイメージからブート用CDを作成して、
そのCDからブート、
あるいはUSBメモリイメージからブート用USBメモリを作成して、
それからブート、
という手順を踏むのが一般的でした。
しかし、いろんな版を試したりする場合に複数の起動メディアを
用意するのは面倒です。また、無駄にCD-Rを消費してしまうことにも
つながってしまいます。これは環境にやさしくありません。
起動メディアを作成しない方法としてネットブートがあります。
一般的な(FreeBSD)のネットワークブート(PXEブート)では、
TFTPとNFSを用いるので、これらのサーバの準備を利用者が用意する必要があります。
仮にTFTPとNFSではなく、HTTPのようなプロトコルで
「wipe-out」のブートイメージを「利用したいときにダウンロード」
することができれば、起動メディアの用意の煩わしさから解消されるでしょう。
●iPXEブートとは
前節に書いたことを解決することは可能です。
それは
iPXE - open source boot firmware
を使うことです
(参考:
https://ja.wikipedia.org/wiki/IPXE)。
iPXEは、既存のPXEにさまざまな拡張を採り入れたネットワークブートの
ファームウェアです。
OSブートイメージの、HTTPによるダウンロードなどをサポートしています。
●iPXEを使った「wipe-out」のブート(準備について)
iPXEを使って「wipe-out」を使うには、次の条件を満たしておく必要があります。
-
「wipe-out」を利用したいパソコンなどが
インターネットに接続されていること
-
何らかの方法で、「wipe-out」を利用したいパソコンなどで
iPXEのブートが可能であること
(iPXEのCDイメージかUSBイメージからブートするのが比較的簡単です)
-
syslinux付属のmemdiskが手元にあり、
iPXEが利用可能なプロトコルでダウンロードできること
これらの条件が満たされていれば、iPXEブートにより、
「wipe-out」をダウンロードして「wipe-out」のメディアを準備することなく
「wipe-out」を利用することが可能となります。
●iPXEを使った「wipe-out」のブート(実践編)
iPXEを、そのブートイメージ(CDあるいはUSBメモリ)からブートすると、
iPXE -- Open Source Network Boot Firmware -- http://ipxe.org
Features: HTTP iSCSI DNS TFTP AoE FCoE TFTP COMBOOT ELF PXE PXEXT
Press Ctrl-B for the iPXE command line...
のようなメッセージが表示されます。
ここで、Ctrl-Bを押してiPXEのコマンドラインを動かします。
iPXEのコマンドラインプロンプトは「iPXE> 」です。
このプロンプトに対して、数行のコマンドを入力するだけで、
iPXEをつかった「wipe-out」のブートが可能になります。
入力するコマンドはたったの4つです。
dhcp
kernel protocol::/path/to/your/syslinux/memdisk iso raw
initrd http://「wipe-out」のISOイメージ
boot
です。
最初の「dhcp」では、DHCPを使ってIPアドレスの割り当てを行います。
2行目の「kernel…memdisk iso raw」ではsyslinux付属のmemdiskを呼び出します。
3行目で「wipe-out」のISOイメージを読みだし、
4行目で「wipe-out」のISOイメージからブートします。
たったこれだけす。
●iPXEを使った「wipe-out」のブート(実行例)
クリックで拡大します
●iPXEのブートメディアすら用意しない方法
iPXEの使いかたを解説したページには、
DHCPと通常のPXEブートを組み合わせて、iPXEブートローダを読み込む方法
などが解説されています。
そのような方法を真似ることができるのであれば、
iPXEのブート用CDやブート用USBなどのメディアを用意する必要はありません。
→参考: Using ISC dhcpd / PXE chainloading
(http://ipxe.org/howto/dhcpd#pxe_chainloading)
●長々とコマンドを打つのが面倒なときは
前述のとおり、iPXEを使ってHTTPで「wipe-out」のイメージをダウンロードし、
そこから直接起動するには、
の4つのコマンドが必要ですが、
「kernel」や「initrd」のパラメータを長々と入力するのは
面倒かもしれません。
そんなときは、
-
dhcp
-
chain http://www.wheel.gr.jp/wpout-ipxe.txt
を試してみてください。
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●関連リンク
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